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ときめく時の中で 外伝2



   詩織のいない1週間 20話前後
 

「さあ、行きましょう」
 かけ声と共に将はコートに飛び出す。
 てきぱきとネットを張り、練習の準備をする将の姿に、佐鳴と新橋は、笑って会話を
交わす。
「吉野君、ここ数日、ずいぶん元気だね」
 佐鳴の言葉に、新橋はどちらかと言うと、苦笑いの部類に入る表情を浮かべる。
「まあ、カラ元気も元気の内だからね」
「詩織がいないから気合が抜けた、何て事を言われたら、詩織にすまない。
 吉野君の事だから、そんな事考えてるんじゃないのかな?
 彼らしくて、可愛いじゃないの」
 佐鳴の意見は、実は全く正しい。
 2年生が修学旅行に行ってから、今日で4日目。
 将にとって、詩織がいないと言う事は、気合が抜けるとかそれ以前に、練習の仕方が
変わってしまうという、現実的な問題があった。
 そんな問題を打ち払うべく、将はともかく元気を出して行こうと、自らにムチを入
れ、この4日間をすごしていた。
 しかしそれでも、いつものように、と言うには程遠い日々であることも確かである。
 気合は入っているのだが、どこかを向いている、そんな感じなのだ。
「しかし、それは、吉野自身が一番よく判っている事だし、自分なりに考えてやってい
るのだから、注意しようがない。
 まあ、黙って見ててやろう」
 中沢が有玉にそう言ったのは、昨日の事である。
 もう、現時点において、将はテニス部にとっての、ムードメーカーとなっていたの
だ。



 将が家に帰ってくると、一枚の絵葉書が来ていた、差出人は・・・。
「藤崎先輩だ」


こんにちは 将君
元気かな?
今、私は、北海道の1日目を終えるところです。
もうこちらは、夜になると肌寒くなってます。
(さすがは北海道なんて、変に感心しちゃった)
将君もお体に気をつけて、ちゃんと練習するんだよ
それじゃあね。

P、Sお土産買って行くから、待っててね


 ごくありふれた時計台の絵葉書には、そう書かれていた。
「先輩の事だから、みんなに出してるんだろうなあ。
 ・・・先輩らしいや」
 将はそう考えていた。
 それは半分正解という所だった。
 詩織が絵葉書を出したのは、確かに将だけではなかったが、ごく限られた数人に限ら
れていた。
 将にはそんな事が判らないので、そう考えるのも無理はないが、将は、その小人数の
内の一人だったのである


「さあて、今日も頑張りましょうか」
 翌日の練習で、将の雰囲気が昨日までと違う事に、周りの人間は戸惑った。
「どうしたのかね?」
「なんかいい事あったのかな?」
 そんな疑問が飛び交う中、真相に一番近い答えを持っていたのは、同じく詩織から絵
葉書をもらった中沢だけである。
(藤崎は、吉野の所にも送ったんだろうな。まあ、これで、吉野も何とか1週間乗り切
れそうだ)
 などと考え、一人でニヤける中沢であった。
 その視線の先で、将はサーブの練習をしていた。
 その弾道は、昨日までとはうってかわって、好調時の物になっていた。
 結局、詩織には将の事がお見通し、と言う訳である。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−終わり



−−−−−−−−−後書き−−−−−−−−−−−−−−

 このお話の意味は、まあ、ありませんね(^_^;)。
 ただ単に、"詩織のいない間、将はどうしていたか?”と言う所からだけです。
 それにしてもこの頃の将は、少しばかり情けないですねえ。
 いや、本人もそれに気付いているから、空元気出してるんでしょうけどね。
 
 それにしても、詩織ってまめだなーー(^_^)。

ご感想、批評など、よろしければお聞かせください。

それでは。

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