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紐緒 結奈 +α編

 
 
 
「出来たわ」
 科学実験室で、結奈は不敵な笑顔を浮かべながらそう言った。
 手にしたフラスコを揺らしながら悦に入っていた。
「論理的には完璧なはず。これで実験が進められるわ・・・」
 だが、その笑顔が急に曇った。怪訝そうな表情を浮かべた後、はっと思い付いたよう
に思わずイスから立ち上がった。
『いけない! という事は私も例外じゃないのよ』
 すでに手遅れだった。身体の芯から沸き起こる、熱を帯びた衝動が彼女を包み込む。
『ま、テストをしたと思えば、いいのよ。幸い誰もいないし・・・』
 努めて平静を装いながら、結奈はフラスコに栓をして、換気扇のスイッチを入れる。
 部屋の内鍵をしめると、ゆっくりと机の上に座った。
 躊躇う素振りも見せず、制服のスカートの中に右手を入れる。
 内股を伝い真っ赤なショーツに辿り着いた彼女の指は、三角形の頂点に触れるやいな
や、優しくそこを撫で上げた。
「くぅっ!」
 顎を退け反らし、前髪を跳ね上げ、結奈は自らがもたらした性感を、素直に受けとめ
た。
『驚いたわ。もう湿ってる』
 自分自身の身体の変化に、彼女自身が軽いショックを受けていた。
 ショーツの外側の生地がしっとりと湿り気を帯び、ささやかな熱気と共に、スカート
の中を女の匂いで満たしていたのだ。
 指をショーツに潜り込ませる。
 ぬるぬるとした感触が、指の末梢神経を通して全身に広がる。
「こんなにして、・・・悪い娘ね」
 わざと声に出してそう言うと、陰毛をかき分け、クリトリスに軽く触れる。
「ああんっ!」
 思わず悲鳴のような声を上げてしまった。
『すごい。いつもと全然違う。すごい感じる』
 机の上に仰向けになり、足を広げる。スカートがめくれ上がり、ショーツが丸見えと
なるが、全く意に介さない
 ショーツの上から左手を添え、右手での愛撫を加速させる。
「あ、あああ、あ、ああううぅ」
 押し殺そうとしても、声が止まらない。もっともその気もないのだが。
『いいわ! 気持ち良いわ! すごい! こんなに気持ちがいいなんて!』
 涎を拭こうともせず、ひたすら快感に身を任していたのだが、ふと、ある事を思い
出した。
 よろよろと覚束ない足取りで、部屋の隅にあるロッカーに向かい、その内の一つの扉
を開け、中から、何かを取り出した。
「ちょうど、・・・これの使い心地も・・・試せるわ」
 荒い息の中、彼女が手にしたのは男性器を型どったディルドだった。
 ただ、それは結奈自身が作ったもので、特殊樹脂で作られたそれは、適度な硬度を保
ちつつも、表面は微妙な弾力を持っていた。
 さらに異様なのは、恐らく身体に装着するときに使うものだろうラバーベルトが付い
た根元の部分から、様々な長さの電気コードが何本か延びており、その先端が電極にな
っている事だった。
 今のところ、結奈にとって、その部分は必要ではなかった。
 男根を右手でしっかりと握り締め、その手間ももどかしげに左手でショーツを下ろ
す。膝を床に付いた格好を取り、突き上げる形でディルドを自らの秘唇に押し当てた。
「すうぅ」
 小さく息を吸い込んだ後、ぐいと腰を下ろした。
「うぅっ!」
 呻くような声が意思に係わらず、吐息と共に漏れた。
『すごいわ! これは予想以上よ!!』
 ディルドをゆっくりと上下運動をさせると、くびれた部分が窒内をえぐり、強烈なほ
どの刺激が全身を駆け巡る。
 セーラー服の下側から左手を潜り込ませ、ブラジャーを上にずり上げる。
 制服の下で、きれいな円のラインを描く、豊かな白い胸の丘が、プルンと露になる。
 人差し指と中指で、その頂にあるピンクの突起をつまむ。
「あああ、いいぃ」
 声にならない声でそう言って、腰をグラインドさせる。
 グニグニと言う感覚が下半身を包む。腰の部分が熱を帯び、額に脂汗が滲む。
 ヴァギナと乳首、双方からもたらされる留処ない快楽に、結奈は髪を振り乱し悶え悦
んだ。
「あぅ、おおぉぅ! いやっ! あうん。ああああ!!!」
 クレヴァスから溢れ出る粘液がディルドを伝い、ポタポタと床に滴り落ち、小さな水
たまりを作る頃、結奈はあられもない姿で絶頂を迎えた。
「うああああぁっう!!」
 それはヴァージンである彼女が図らずも知った、初めてのオルガスムスだった。
 
 いったいどのぐらい時間が流れたのだろうか? 日もすっかり落ち、辺りは暗くなっ
ていた。
 感情の激流が収まり冷静になった結奈は、身支度を整え実験室の中を片付けた後、事
もなげに下校した。
 だが、内心では高ぶる感動を抑えるのに苦労していた。
『予想以上の結果だったわ。あとは実行あるのみね。
 ふふふ、明日以降が楽しみだわ』
 等と思いつつ、一人ほくそ笑む結奈だった。 
          
          
          
  事の始めは、異性、彼女からすれば男性は、性感という物をどのように感じているか
と興味を抱いた事だった。
 思春期の誰もが思う疑問や悩みすら、努めて科学的合理的に理解しようとするのが彼
女の性格だった。
 医学書を読み漁り、理論的にはかなり理解できた結奈だったが、そこまで行くと、実
際に体験してみたいという衝動に駆られた。
 現実には非常に困難な事であるのは判っていたが、一度そう思ってしまったら、本人
にも止めようがなかった。
 発想は単純でも、その実現の道のりは、さすがの彼女にも険しいものだった。
 感覚センサーとでも言うものを特別に制作したり、コンピューターによるシミュレー
ションを何度も繰り返したりした。
 ヴァギナの快感を排除しつつ快感を得るために、クリトリスに依存する事になった。
 感覚センサーが女性器の感覚をクリトリスに伝え、男性の感じ方を疑似体験できるよ
うにまでなったのだが、問題があった。
 男には射精というものがあり、それをどう再現するかが一番頭を悩ませた問題だっ
た。
 結奈の絶頂の波は、なかなか去っていかないタイプだと言う事は、彼女自身の自慰と
言う体験によって判っていた。これでは疑似再現にはならない。
 男の感じ方が、絶頂の瞬間から波が去るように引いていくのなら、それを模倣しなけ
ればならない。
 苦渋の選択として、結奈がオルガスムスを感じた時、痛みに近い刺激を電極が発し
て、性感を強制的に下げることにした。
 それらを考慮に入れ、完成したものは、統計値にそって、全長14cm、直径3.5
cm、最大直径4.5cmの特徴のない形状にし、表面を特殊ラバーで被い適度な硬さ
を確保した。
 その形状を目の当たりにして、「こんな物が入るのか?」と、ヴァージンである結奈
は驚いたのだが、統計がそうなっているのでは否定するわけにもいかない。
 完成前のテストとして、自らの身体にセットをして、男性がするマスターべーション
ように、その棒状の筐体を右手でしごいた。
 手のひらが表面をこする度に、びりびりと快感がクリトリスを襲い、強引なまでの快
楽を得ることが出来た。
 予想外だったのは性感を落とすための電気刺激が、逆に恐ろしいまでのエクスタシー
を産むことになった。
 経験したことのない興奮の渦に巻き込まれ、結奈は尿をしぶつかせながら失神してし
まった。
 予想以上の出来栄えだった。
 これが、男性型性感再現機「スタンスティック」の生い立ちである。
 ここまでくると、結奈は一つの興味が沸いてきた。
 これを使って別の女性をエクスタシーまで持っていけるか? と言う事である。
 俗な言い方をすれば「イカせられるか」となる。
 そして、性の奴隷にできないか? と言う思考実験を行った時、今まで理解できなか
った男のメンタル部分まで理解できたような気がした。
 確かに、自らの力によって相手から理性を奪うと言う行為は、想像するだけでも背筋
がぞくぞくしてくる行為だった。
 科学の力ではなく(実際、科学なのだが)、性と言う本能によって人を支配するとい
う欲求を止める術は彼女にはなかった。
 そのための準備を怠らなかった。強姦罪が成立するかどうかは不確かだが、事を荒立
てるわけにはいかない。最終的にはターゲットが自ら望むようにしなければならないの
だ。
 そして、結奈は媚薬を作ることにした。フェロモンと言う物質の基礎研究は進んでい
るので、これはさほど苦労はしなかった。
 そのため迂闊にも自分が実験台になってしまい、責められる側のデータ取りまでして
しまったのだが、それ以上に気持ちが良かったので、それは良となってしまった。内心
「私も女ね」と思わずにはいられなかったが・・・。
 ともかく、準備は整った。後はターゲットを誰にするか? だが結奈は、すでに、こ
れと言う人物を決めていた。
『どうせやるなら、もっとも難しそうな相手にしなければ・・・。
 そう、きらめき高校のアイドル。藤崎詩織よ・・・。』
 あの清純そうな詩織が、性に悶え苦しむ様を想像して、結奈の征服願望がふつふつと
沸き立った。
 
 
 
 決行の日、時期も結奈に味方し、詩織に仇をなしていた。
 その日、詩織は日直となっており、放課後だと言うのに「先生が科学実験室で呼んで
いる」と言う伝言を、疑いもせず素直に受けとめてしまった。
「失礼します」
 それが結奈の策略だとも知らず、言われた通り科学実験室にやって来たのだが、中に
は誰もいなかった?
「?」
 詩織が不思議に思っていると、隣接する準備室から結奈が表れた。
「あら? あなたは・・・確か藤崎さんよね。
 どうしたの?」
 かなりの演技力を動員して結奈がそう尋ねると、詩織は疑いもせずに答えた。
「ええ。先生に呼ばれたんだけど・・・。紐緒さん、先生知らない?」
「さあ、今日は見てないけど、そう言うことなら、そのうち来るでしょう。
 そこら辺りに座って待っていれば?」
「そうね。そうするしかないわね」
 結奈の言われるままに、詩織はイスに腰掛けた。事は結奈の思惑通りに進んでいた。
「あ、そうだ」
 かなりわざとらしく結奈が言った。だが、詩織は不自然と感じてさえいなかった。
「今、芳香剤を作っているの。意見を聞かせてもらえるとありがたいんだけど、よろし
い?」
「え? ええ、私で良ければ」
「ありがとう」
 別の意味での礼を述べながら、結奈は茶色の小瓶を詩織の鼻先に差し出した。
 手のひらで扇ぎながら詩織がその匂いを嗅ぐ。悪臭ではない。
 鼻を瓶に近づけて、直接匂いを嗅いでみた。
「嫌な匂いじゃないわ。 でも、お部屋の匂いとしてはどうかな?
 これ、どこに使う予定なの?」
「いいのよ。それはどこに使うと言うものじゃないんだから」
「え?」
 意味が判らなかった。だが、その直後、詩織は自らの身体に異変を感じた。
 下半身から、ガクンと力が抜け、座っていなければ倒れてしまったのではないかと思
えるほど力が入らない。
 その内、身体の芯からじわじわと熱が沸き出してくる感覚に襲われ、戸惑わずにはい
られなかった。
「どう? テストから更に改良を重ねた特製の媚薬は? 
 身体が火照ってたまらないでしょ?」
 結奈の言う通りだった。芯から沸き出した得体の知れない体温は、やがて詩織の身体
全体を包み込み息遣いさえ荒くさせていた。
「紐緒さん! あなた、何をする気なの!?」
「あらあら、あなたのような人が、ここまで来てまだ判らないの?
 する事は決まっているでしょ?」
 そう言うが早いか、結奈は両手で、豊かに膨らんだ詩織の両胸を鷲掴みにした。
「ああん!」
 自らの意思に係わらず、詩織の口から悩ましげな声が漏れた。
 胸を乱暴に揉まれただけで、信じられないほどの快感が彼女を貫いた。経験した事の
ない性感だった。
「ひ、人を呼びますよ!?」
 だが、詩織は精一杯の気力を振り絞り、弱々しい声でそう言った。
「あら? 人を呼んで、何をどうやって説明する気?
 女にレイプされる。なんて誰が信じてくれると思うの?
 そもそも、その身体を一人で静める気? そんな自信、あるの?」
 影響を考え、冷徹な声で結奈は言い放った。
 効果は覿面だった。詩織自身、やっと保っていた気力がへなへなと萎えていくのを感
じた。
 それを見計らったように、詩織の耳元で囁くように優しく結奈が続けた。
「心配は無用。女同士なんだから、無理はしないし、考えようによったら、よっぽど安
全よ。
 それにあなただって、人の目を気にして高校生活を送りたくはないでしょ?
 少し我慢すれば、新しい世界が開けるの。私にはその自信も裏付けもあるのよ」
 その口調には、穏やかだが自信に満ちたものがあった。
「な、何・・・ムグッ」
 何をしようと言うの?と聞きかけた詩織の唇を結奈の唇が塞いだ。
 抵抗する間もなく、結奈の舌が詩織の口内に侵入して来た。
 ぬめりとした感触が詩織の舌先に触れると、ピリピリという細かな電流が脊髄と脳内
を跳びはね回った。
 不思議と抵抗しようという感じはなかった。それどころか、詩織は更に刺激を求める
ように結奈と舌を絡ませあうほどだった。
 ねっとりとした濃密なキスがどれほど続いただろうか?
 結奈の方から、ゆっくりと唇を離した。
「あぁん」
 物足りなさそうな詩織の吐息が漏れる。
『落ちたわね』
 その様子に結奈は確信した。ここまでくれば、まずは成功といって良い。
 もっとも、予測の範疇ではあったが、多少驚かされた事もあった。詩織にとって、こ
れがファーストキスではないだろうと言う点だ。
「藤崎さん、キスの経験があるのね? 上手いじゃない」
 詩織は声もなく頷いた。
「じゃあ、ヴァージンは喪失済み?」
 今度は首を振った。
「そう」
 結奈は納得したように、それ以上は質問をしなかったが、詩織は正確には答えてはい
なかった。まさか、その相手が親友である美樹原愛とのキスであり、レズであるとは、
とても言えなかった。
 未だヴァージンである事は間違いないが、愛とのレズでバイブをすでに経験している
のである。なんのためらいもなく首を振ったかと言えば嘘になる。
 もっとも、そのせいで、結奈とのキスを簡単に受け入れてしまう事になったのだが、
「紐緒さんもその気なら、別にそれはそれでいいかな?」と言う気がしないでもなかっ
た。 女同士でなら、さして抵抗はなかったのだ。
 それに、頭の中の冷静なごく一部分が、事を荒立てて困るのは結奈も同じだという結
論もあった。
「ねえ、早くしましょうよ。紐緒さんがその気なら、私は良いのよ。
 シテくれるんでしょ?」
『なるほど、この表情をされたら、大抵の男は自分を抑えられないでしょうね』
 瞳を潤ませ、悩ましげな笑顔を浮かべて懇願する詩織の表情に、冷静にそう推論した
結奈の理性も、少なからず揺り動かされていた。
 その動揺を抑えるため、多少の時間を置こうとすると、そうはさせまいとばかりに、
逆に詩織が結奈に抱きついてきた。
「しょうがないわね」
 と言った後、結奈も詩織を抱き締め、そのままゆっくりと床に詩織を押し倒した。
 セーラー服の上着の下から結奈は右手を潜り込ませ、豊かな膨らみの詩織の胸を揉ん
だ。すでに乳首は硬く尖り、軽く指で弾くと、詩織はびくびくと身体を震わせ、切ない
声を上げる。
「あん! あん、ああ、いいわぁ」
 媚薬の効果もあってか、詩織の瞳からはすでに理性の輝きが消え失せ、官能に溺れる
雌の影しかなかった。
 あまり時間はない。結奈は詩織のスカートをめくり上げ、股間に触れる。
『やっぱりね・・・』
 そう思う結奈だった。詩織のショーツの表面まで、すでに愛液によって濡れており、
その勢いはまだまだ止まりそうになかった。
「あ! いいわ! 紐緒さん、直接いじってぇ!」
 言われるまでもなく、そのつもりだった。
 生地の面積の少ない、白いナイロン製のショーツをするすると引き下ろすと、べっと
りと白い肌に張りつく詩織の陰毛が露になった。
 一方、ひんやりとした空気を股間に感じ、詩織はこれからどうなるのだろうか?と、
期待に胸を膨らませていた。
 結奈が言う通り、薬の威力はすさまじく、恐ろしいほど感じていた。
 これから結奈が何をするかにもよるが、どの道、初めての経験になることは間違いが
ない。
 だが、結奈が取った行動は詩織の予想していた、どの行動とも違っていた。
 仰向けになった詩織のお腹のあたりに馬乗りになって、ゆっくりとスカートを持ち上
げていったのだ。
「ねえ、これを見て」
 結奈自身も驚いてしまう甘えるような口調で言った。
「!?」
 驚きのあまり、詩織は息を飲んだ。
 結奈はすでにショーツを穿いていなかった。だが、詩織が驚いたのは、その事ではな
い。
 その股間から、猛々しく男根がそそり立っていたのだ。
「驚いた? 私が開発したスタンスティックよ。
 処女でもクスリの効果で痛くはないはずだから、心配はしなくていいわよ」
 フフフと笑いながら、結奈はゆっくりと位置を合わせる。
 だが、詩織は特に心配はしていなかった。確かにすでに準備をしていた事には驚いた
が、その大きさ自体はバイブとほぼ同じぐらいだし、そう言う事なら予想はしていたの
だから。 その男根が、詩織が想像したものとは違っている事を彼女は知らない。
 それよりもまず、この身体の火照りを何とかしてもらうのが先決だったのだ。
 メリメリと詩織のクレヴァスに、結奈は先端を突き刺した。
「あう」
「ああん」
 二人同時に声が出た。
 詩織も、その適度な硬さに快感を味わっていたのだが、クリトリスに表現のしようも
ない刺激を感じた結奈の乱れ方も相当なものだった。
 詩織の秘部はすでに熱く煮えたぎり、無意識のうちにひくひくと締め付けてくるの
だ。それがダイレクトにクリトリスに伝わり、頭脳が命令もしていないのに腰が前後に
動いてしまい、髪を振り乱す結奈だった。
「紐緒さんも感じる? 紐緒さんも気持ちいい?」
「ええ、いいわ! あなたの中、最高よ!!」
 結奈の言う意味は理解できなかったが、今は深く考える余裕はなかった。と言うの
は、ここまではされるがままだった詩織も、こうなれば結奈にも感じて欲しいと思って
いたからだ。
 両足を床に踏ん張り、下半身をブリッジのようにして腰を突き上げる。円運動をする
ように腰を動かすと、詩織と結奈双方にすさまじい快楽が押し寄せた。
「ぐあああっ!!」
「い、いいいいい!!」
 悲鳴に近い声を上げながら、2匹の雌となった二人は、狂ったように腰を動かし続け
た。
「パンパンパン」と肉が弾ける音が響く。詩織の腰を両手で押さえ込んで、結奈が腰を
突き上げていたのだ。
「あ、あ、あ、あ、あ!」
 肉が音を立てる度に、詩織が苦しそうなよがり声を上げる。
 媚薬のせいで、詩織はもはや絶頂寸前だった。結奈を悦ばせたいために必死で我慢し
てきたのだが、それも限界が来ていた。
「イッていい!? 紐緒さん! 私、イッていい!? もう駄目ぇ!!」
 しかし、返事を待つことは出来なかった。あっと言う間に昇天した詩織の身体は、が
くがくと痙攣を繰り返しながら、性本能の赴くままに快感の荒波に揉まれていった。
 
 
 
 それから数日が流れた。
 結奈にとってあの日の事は、女としては不満足だった。
 詩織が先にイッてしまったため、彼女はエクスタシーを迎えることが出来なかったか
らだ。
 しかし、初期の目的は充分果たせたし、女としての満足も、これからお釣りが出るほ
ど得られるだろう。
「むぐ、あむ、んっ」
 くぐもった声が科学準備室に漂う。
 白衣を着て立つ結奈の前に、詩織が跪いていた。
 その上半身に結奈のスカートが被いかぶさり、それに隠れた形で、詩織は結奈の股間
に顔を近づけていた。
 結奈は「スタンスティック」をすでに身に付けており、詩織は先程から口での愛撫を
続けていたのである。
 形としてはフェラチオになる。未経験の詩織の技巧は、まだまだぎこちない。
 結奈にそうするように強要されたのだが、生身ではない為、さほどの抵抗感はなかっ
た。 それにその機能を説明され、そう言うことならば、とかえって前向きになったぐ
らいである。
 とにかく、媚薬と「スタンスティック」によるSEXの快楽は、他では経験できない
ものであり、それを得るためならば多少のことぐらい我慢できてしまう。
 詩織の精神状態はそこまできていた。
「そうよ。なかなか上手いじゃない」
 ジンジンと感じる性感を味わいながら、結奈が詩織に指示を与える。
 詩織もそれに対して素直に従おうとする。それ異様な興奮状態を結奈にもたらしてい
た。
「その調子よ。もっと上手にできたら、これでしてあげるわよ。そろそろして欲しい頃
でしょ?」
「あ、はい。お願いします。頑張りますからぁ」
 結奈の”モノ”で疼く身体を静めてもらいたいが為に、詩織は吸い付くような愛撫を
さらに加速する。
 彼女を知るものならば、誰一人として想像できようもない光景だろう。
 ほぼ計画通りに事が進み、結奈は満足感に満たされていた。
 よほどのことでない限り、結奈の命令に詩織が従うようになるのは時間の問題であろ
う。この快楽を捨て去るには、それ相応の覚悟が必要になる。詩織はこの快楽の罠に、
ズブズブと引き込まれていくさなかにいるのだ。
 生温かな詩織の口の感触を味わいながら、結奈は考えごとに耽った。
『藤崎が落ちたとなれば、次は伊集院レイ。
 フフフ、正にハイリスク、ハイリターンの典型ね』
 伊集院の男装は、彼女の洞察力を欺けなかったのだった。
 
 
 
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