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曲技飛行科目 第三区分(第四区分)


曇りの日で、雲が低く垂れこめているような時に行われる課目(プログラム)です。
特徴としては、何より、飛行する高度が低く抑えられた課目が展示されることです。

個人的に不思議な事は、ユーチューブとかにアップされる画像でも、タイトルに「第4区分」とされる画像の方が、
「第3区分」と称されているものより多いような気がします。
低い高度での曲技飛行を、なんとなく第四区分と捉える(実際には第三区分であっても)感覚が多いのかな? と思ってます。
というか、筆者自身がそう思ってしまうのですが・・・。

これも、なんとなくそう感じられる。という程度の話ですが、どうせ見られるなら「第一区分」が見たい。というご意見が多いと思います。
課目そのものの見ごたえ、技量、迫力は、そんなに変わらない。と筆者は思ってます。
第一区分の課目は、高度がある分、高くて何をやってるのかよく分からない、と言う事があるのですが、第三、四区分だと低い分だけ、
機体の機動がよく見えたりしますしね。

もちろん、第一区分というのは、青空、と言う事が多いわけです。
ブルーインパルスの白と青の機体、白く尾を引くスモークが、青い空によく映えるのは当然で、そういう意味では、
第一区分が一番見ごたえがあるという事は、否定しません。
好天が基本の航空祭で、第三、第四区分が見られるというのは、案外レアケースではあるのですが…。

なお、射程(見晴らし)が8q以上あり、雲底の高さが、約1500m以上あれば、第三区分。
雲底の高さが900m以上あれば、第四区分が行われる基準になってます。

1.ダイヤモンド・テイクオフ・ダーティーターン

   ▲              ▲
  ▲ ▲     →      ▲ ▲
 ▲                ▲


  1               1
 2 3     →       2 3
4                 4

の並びで離陸(テイクオフ)した直後、4番機が1番機の後ろにスライドして、ダイヤモンド隊形に変化。
ギアダウン(車輪を下した状態)したまま、会場前方を旋回して、スモークを引きながら会場正面から、後方へ抜けていく課目。
強風などの気象条件によっては、1機づつ離陸し、上空でダイヤモンドの編隊を組んでから、会場を抜けていくことがあります。

2.ローアングル・キューバン(5番機)
3.ロールオン・テイクオフ(6番機)


ローアングル・キューバン


ロールオン・テイクオフ

同時に行われる事が多いのですが、1同様、強風などの気象条件によっては1機づつ行われることがあります。
まず5番機は、超低空離陸の段階で車輪をあげて加速。スモークを引きながら低空飛行を行い、
滑走路の終盤で急上昇し、半ループをした後2回ロールしながら降下。
滑走路上空を低空で戻り、会場を抜けていく課目。
5番機と同時に離陸を開始した6番機は、ギアダウンしたまま離陸。上昇した後、ロールしながら旋回して、会場後方へ抜けていく課目です。

4.ファン・ブレイク

  ▲
 ▲ ▲
  ▲

密集したダイヤモンド隊形で、会場を旋回しながら通過する課目です。
全課目の中で、最も高い速度で演技が行われ、ジェットエンジンの音も甲高くなり、ここだけ違います。
スモークを引かない、珍しい課目です。


5.フォー・ポイント・ロール(5番機)

会場左より、滑走路上空を直進、進行方向を軸に、操縦席を、右、下、左、上、と姿勢を変えながら会場右手に抜けていきます。


6.チェンジ・オーバー・ターン

    ▲                 
    ▲                 ▲
    ▲      →         ▲ ▲
    ▲               ▲   ▲
    ▲

会場の右側から、トレイル(竿)で進入した5機編隊が、右へ旋回する時に2番機、4番機がいったん逆にひねった後、
逆側の後尾について、傘型のデルタ隊形に変化。
大きな傘型隊形で、一周する間に互いの機体を狭め、密集した隊形になっていき、会場左手に抜けていく課目。
言葉で説明するのが、かなり難しい(笑)。


7.インバーテッド&コンティニュアス・ロール(5番機)


会場左より進入後、背面飛行で滑走路上空を通過し、体勢を戻した後上昇、上昇中、180度ロールをして半回転のループをして降下。
滑走路上空で引き起こした後、3回転のロールをしながら、滑走路上空を抜け、会場左手に抜けていく。
(お分かりいただけたでしょうか…?(苦笑)


8.サンライズ

   ▲                     ▲
  ▲ ▲     →         ▲         ▲
 ▲   ▲         ▲                    ▲
 

会場正面から、傘型のデルタ隊形で進入し、第1区分(第2区分)では行うループはせずに、
そのまま左右に散開して、会場後方に抜けていく課目。
だから、レベル・オープナーとどう違うかは分かりませんって(笑)

9.インバーテッド・ロール(5番機)



会場左手から、背面飛行で進入し、2回ロールをした後、背面で会場右手に抜けていく。
スピードが結構速くて、あっという間に終わります。


10.スロー・ロール(6番機)

会場左側から、ゆっくりと1回転ロールをして、滑走路上空を右手に抜けてる課目。
6番機のパイロットが、一番神経を使うのがこの課目。と目にした覚えがあるのですが、本当かどうかは知りません(笑)


11.レター・エイト

  ▲                      ▲ →右へ旋回
 ▲ ▲     →              ▲ ▲         
  ▲                ▲←左へ旋回



ダイヤモンド隊形で、会場後方から進入した4機が、会場上空で後部の4番機が左へ、他の3機が右へ旋回。
4番機がやや小さい円を描き終えた後、大きめの円を描く3機に合流し、水平に8の字を描く課目。
4番機が合流する時、1番機とのスモークの交代が、この課目の山場だと個人的には思ってます。


12.バック・トゥ・バック or カリプソ


写真はバック・トゥ・バック

5番機、6番機で行われる課目。会場を右から左に抜けます。
機体の底面を向き合わせるのが、バック・トゥ・バック。
操縦席を向き合わせるのが、カリプソ。
どちらを演じるかは、5番機が、その時の状況で決めるんだそうです。


13.トレイル・トゥ・ダイヤモンド・ロール

    ▲
    ▲                 ▲
    ▲      →         ▲ ▲
    ▲                 ▲  

会場左から、トレイル隊形で進入し、滑走路上空でロールをしながら、ダイヤモンド隊形に形を変えて、右手に抜けていく課目。
3次元の空間把握な苦手な人(筆者)は、頭がこんがらがってしまいがち。
 

14.オポジット・コンティニアス・ロール

左右から、それぞれ5,6番機が滑走路に進入し、ロールをしながらすれ違う課目。
左右どちらを見たらいいか、会場中がキョロキョロします。


15.フォー・シップ・インバート or スリー・シップ・インバート or ダブル・ファーベル 

写真はフォー・シップ・インバート

ダイヤモンド隊形で、会場右手から滑走路上空を、左手に抜けていく課目。
4機が背面飛行するのが、フォー・シップ・インバート。
1番機以外が背面飛行するのが、スリー・シップ・インバート。
1,4番機が背面飛行だと、ダブル・ファーベル。
ですが、筆者はフォー・シップ・インバートしか、見た事ありません。
これは1番機が、何をするのか決めるそうです。


16.スラント・キューピッド(第3区分)
   オリジナル・レベル・キューピッド(第4区分)


写真はバーティカル(垂直)キューピッド

5,6番機が会場正面で左右に分かれ、ハートを描きます。
第3区分では、そのハートが手前に傾いた状態になり、そこに、4番機が、ハートの下側から矢を貫きます。
第4区分では、ハートが水平に描かれ、矢は刺されません。ビッグハートとも呼ばれます。
人気のある課目ですが、これは、やはり青空をバックにして見たい課目でもあります。


17.シングル・クローバーリーフ・ターン

     ▲                ▲
    ▲ ▲      →        ▲
     ▲               ▲ ▲



会場左側から、1〜4番機がダイヤモンド隊形で進入。左へ旋回し、その途中で、アローヘッド隊形へと変形して、会場右手に抜けていく課目。


18.オポジット・トライアングル

     1
    2 3   ↑ 
   6 4 5



デルタ隊形で会場右側から進入した6機のうち、2,3,4番機が背面飛行となり、そのまま左手に抜ける課目。
個人的に一番好きなのは、この課目の終わりです。
5.6番機がブレイク(散開)する時のカッコよさと言ったら…。(写真もそれです)


19.ダブル・ロールバック

    1                1
   2 3     →         4
  5 4 6             2 3
                   5   6 理屈ではこうなります(苦笑) 
会場右正面からデルタ隊形で進入した6機のうち、まず5.6番機が上空の旋回して、
やや後方に付きます(これがロールバック)。
そのあと、2,3番機が同様にロールバックして、スワン隊形に変化して、会場左後方へ抜けていく課目。


20.ボントン・ロール


残念ながらこの時はバラバラ(笑)

やや幅のあるデルタ隊形でスモークを引きながら、会場左前方から進入した6機。
スモークオフと同時に、一斉にロールを一回転する課目。
ビタッと決まった時は、鳥肌が立つほど美しい。


21.サクラ



6機がおのおの約500メートルほどの距離を取って、会場上空に水平に6個の円を描く課目。
オリンピックの五輪マークが変形して、六輪のマークになったとイメージしていただければ、
分かり易いかと…。
この課目と前述のオリジナル・レベル・キューピッド(第4区分)は、曲技飛行で行われる場合、総じて曇り空で行われるので、
青空の下で展開するのは、屋外イベントで行われる時に限られます。


22.タック・クロスI (タック・クロスII)



この説明が一番骨が折れる(というか諦めかけてる)。
会場正面から、並んで進入した、5,6番機が、滑走路上空で交差して左右に分かれ(写真参照)滑走路上空を直進。
そのあと、それぞれが滑走路端付近で、ロールをしながら上昇し、ループをしてから、再び滑走路中央へ。
背面飛行で互いにすれ違った後、2回ロールをしてから、会場後方へ抜ける・・・。
のですが、これで説明になったかどうか・・・(笑)。
(第4区分で演じられるタック・クロスIIだと、左右に分かれた後の上昇が抑えられる形になります)

23.ローリング・コンバット・ピッチ

     ▲
    ▲
   ▲
  ▲



エシュロンで左手から進入した4機が、上昇しながらゆったりとしたロールの途中、1番機から1機ずつ速いロールをしてそのまま旋回。
写真のようにブレイク(散開)して、縦に並んで着陸体勢へ移行。
ブルーインパルス初代からの、伝統の課目。
(これも説明はあきらめました)


24.コーク・スクリュー



5,6番機最後の課目。

会場正面から、5番機が背面飛行になり、その後ろのスモークを回り込むように、6番機がぐるぐる回る。
最後に左へ旋回して、着陸態勢へ。
T−4ブルーインパルスの独自課目です。

以上で、すべての課目を紹介しましたが、気象条件などで演目は変わります。
この通りにプログラムが進むとは限りませんので、ご了承ください。


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