目次のページへ

曲技飛行科目 第一区分(第二区分)

曲技飛行の花形と言えば、第一区分。というのは否定のしようがありません。
晴天、風なしで第一区分が行われるのを見たら、大体の人がヤラれる事は間違いなしです。

第一区分、第二区分の課目は、基本的にはほとんど同じで、バーティカル・キューバン・エイトの一課目の違いだけです。
ただ、気象条件によっては、課目の変更がありますので、下記の順番の様に進むとは限りません。

射程が8q以上で、雲底が約3000m以上(晴天ならもちろん)あれば、第一区分。
雲底が2100m以上あれば、第二区分が行えます。


1.ダイヤモンド・テイクオフ・ダーティーターン


   ▲              ▲
  ▲ ▲     →      ▲ ▲
 ▲                ▲



  1               1
 2 3     →       2 3
4                 4

の並びで離陸(テイクオフ)した直後、4番機が1番機の後ろにスライドして、ダイヤモンド隊形に変化。
ギアダウン(車輪を下した状態)したまま、会場前方を旋回して、スモークを引きながら会場正面から、後方へ抜けていく課目。
強風などの気象条件によっては、1機づつ離陸し、上空でダイヤモンドの編隊を組んでから、会場を抜けていくことがあります。


2&3.ローアングル・キューバン(5番機)&ロールオン・テイクオフ(6番機)


ローアングル・キューバン


ロールオン・テイクオフ

同時に行われる事が多いのですが、1同様、強風などの気象条件によっては1機づつ行われることがあります。
まず5番機は、超低空離陸の段階で車輪をあげて加速。スモークを引きながら低空飛行を行い、
滑走路の終盤で急上昇し、半ループをした後2回ロールしながら降下。
滑走路上空を低空で戻り、会場を抜けていく課目。
5番機と同時に離陸を開始した6番機は、ギアダウンしたまま離陸。上昇した後、ロールしながら旋回して、会場後方へ抜けていく課目です。


4.ファン・ブレイク

  ▲
 ▲ ▲
  ▲



密集したダイヤモンド隊形で、会場を旋回しながら通過する課目です。
全課目の中で、最も高い速度で演技が行われ、ジェットエンジンの音も甲高くなり、ここだけ違います。
スモークを引かない、珍しい課目です。


5.フォー・ポイント・ロール(5番機)

会場左より、滑走路上空を直進、進行方向を軸に、操縦席を、右、下、左、上、と姿勢を変えながら会場右手に抜けていきます。


6.チェンジ・オーバー・ターン

    ▲                 
    ▲                 ▲
    ▲      →         ▲ ▲
    ▲               ▲   ▲
    ▲


会場の右側から、トレイル(竿)で進入した5機編隊が、右へ旋回する時に2番機、4番機がいったん逆にひねった後、
逆側の後尾について、傘型のデルタ隊形に変化。
大きな傘型隊形で、一周する間に互いの機体を狭め、密集した隊形になっていき、会場左手に抜けていく課目。
言葉で説明するのが、かなり難しい(笑)。


7.インバーテッド&コンティニュアス・ロール(5番機)


6のチェンジ・オーバー・ターンと5機と、すれ違うように、会場左より進入。(本当にすぐです)
その後、背面飛行で滑走路上空を通過し、体勢を戻した後上昇、上昇中、180度ロールをして半回転のループをして降下。
滑走路上空で引き起こした後、3回転のロールをしながら、滑走路上空を戻るように会場左手に抜けていく。
(お分かりいただけたでしょうか…?(苦笑)


8.レイン・フォール(サンライズ)

   ▲                     ▲
  ▲ ▲     →         ▲         ▲
 ▲   ▲         ▲                    ▲
 

写真はレイン・フォール

会場正面から、傘型のデルタ隊形で進入した5機が上空にループをし、その降下時にスモークオン。
降下時に散開して左右に開くのが、レイン・フォール。
傘型のまま水平飛行になり、そこから散開するのが、サンライズ。
どちらも結果的に、5機は会場の後方へ抜けていきます。
個人的には、圧倒的に、レイン・フォールの方が好きです。


9.バーティカル・クライム・ロール(5番機)



会場左手から進入し、中央で急上昇した後、3回ロールしつつさらに上昇。
高高度で体勢を戻し、会場を去ります。
T−4の機体性能の限界まで使う課目です。


10.スロー・ロール(6番機)

会場左側から、ゆっくりと1回転ロールをして、滑走路上空を右手に抜けてる課目。
6番機のパイロットが、一番神経を使うのがこの課目。と目にした覚えがあるのですが、本当かどうかは知りません(笑)


11.チェンジ・オーバー・ループ

   1
   2     →       1
   3            2 3
   4             4



会場後方から、トレイル隊形で進入した4機が、急上昇しながら、ダイヤモンド隊形に変形。
ループして下降に移るときにロールをかけ、会場右手側に抜けていく課目。
青空を背にした時の、この課目は本当に美しくて、宣材写真に頻繁に使われます。


12.バック・トゥ・バック or カリプソ or ハーフ・スロー・ロール(5,6番機)


写真はバック・トゥ・バック

5番機、6番機で行われる課目。会場を右から左に抜けます。
機体の底面を向き合わせるのが、バック・トゥ・バック。
操縦席を向き合わせるのが、カリプソ。
2機同時にスロー・ロールを開始し、背面飛行状態になった段階で、速いロールで元の姿勢で抜けていくのが、ハーフ・スロー・ロール。
どちらを演じるかは、5番機が、その時の状況で決めるんだそうです。
個人的にはハーフ・スロー・ロールが、一番見たい課目ではあります。


13.レター・エイト

  ▲                      ▲ →右へ旋回
 ▲ ▲     →              ▲ ▲         
  ▲                ▲←左へ旋回



ダイヤモンド隊形で、会場後方から進入した4機が、会場上空で後部の4番機が左へ、他の3機が右へ旋回。
4番機がやや小さい円を描き終えた後、大きめの円を描く3機に合流し、水平に8の字を描く課目。
4番機が合流する時、1番機とのスモークの交代が、この課目の山場だと個人的には思ってます。


14.オポジット・コンティニュアス・ロール

左右から、それぞれ5,6番機が滑走路に進入し、ロールをしながらすれ違う課目。
左右どちらを見たらいいか、会場中がキョロキョロします。


15・フォー・シップ・インバート or スリー・シップ・インバート or ダブル・ファーベル

写真はフォー・シップ・インバート

ダイヤモンド隊形で、会場右手から滑走路上空を、左手に抜けていく課目。
4機が背面飛行するのが、フォー・シップ・インバート。
1番機以外が背面飛行するのが、スリー・シップ・インバート。
1,4番機が背面飛行だと、ダブル・ファーベル。
ですが、筆者はフォー・シップ・インバートしか、見た事ありません。
これは1番機が、何をするのか決めるそうです。


16.バーティカル・キューピッド(5.6番機+4番機)



会場中央付近を並んで上昇した、5、6番機が、左右に分かれ、降下しながらハートを型どっていきます。
そのハートを4番機が、斜め下から、矢を貫く、人気の高い課目です。
やはり、青空がよく似合う課目です。


17・ラインアブレスト・ロール

  ▲▲▲



1〜3番機が横に並ぶアブレスト隊形でロールをかけて旋回する課目。
2.3番機のパイロットは、横を見て操縦する訳で、想像するだけでも難易度が高い事が分かります。


18.360°&ループ(6番機)

会場左から進入して、右に1回転旋回した後、上空にループする課目。
風が強いと、スモークが流れてしまうのが、ちょっと残念。


19.ワイド・トゥ・デルタ・ループ

         ▲                     ▲
    ▲         ▲       →       ▲ ▲
▲                 ▲          ▲   ▲



会場後方から、幅広の傘型のデルタ隊形で進入した5機が、会場中央で上昇。
その途中で、機体の間隔を狭めていき、密集した傘型のデルタ隊形へ。
そのままループして、会場前方に抜けていく課目。
機体が近づいていくと、スモークが近づき、遠近法で、相当高く昇るように感じられます。
筆者が一番好きな課目です。
1番機の通る軌道の、ちょっと左右の下側から見ると、素晴らしくキレイです。


20.デルタ・ロール

     ▲
    ▲ ▲
   ▲ ▲ ▲



19.のあと、会場はるか前方で5番機が合流して6機のデルタ隊形となり、会場左前方から進入してきます。
上昇してロールしながら旋回をかけ、会場右手後方へ抜けます。
6機が初めて揃い、会場を斜めに抜けていくため、その直下にいる観客は、迫力に度肝を抜かれます。


21.デルタ・ループ

     ▲
    ▲ ▲
   ▲ ▲ ▲



20.の後、会場右手後方から回り込んだ6機が、右手側から進入。
滑走路に差し掛かると上昇をかけ、壮大なループをします。
その後、会場左に抜け、会場左前方に回り込み、22.のボントン・ロールへ向かいます。


22.ボントン・ロール



会場、左前方から、やや幅のあるデルタ隊形でスモークを引きながら、会場左前方から進入した6機。
スモークオフと同時に、一斉にロールを一回転する課目。
この課目自体も美しいのですが、この後、5番機がクイッと左に90度傾き、ブレイク(離脱)していく所もお見逃しなく。


23.バーティカル・キューバン・エイト(第一区分)キューバン・エイト(第二区分)(5番機)



22.で離脱した5番機が、会場右から上昇し8の字を描きます。
頂点では、T−4は失速寸前になり、性能限界を使う課目です。
「さんタク」という番組で、後部座席に乗った木村拓哉さんに「キツイの行きます」という、5番機パイロットの声が聞こえるシーンがあります。

第二区分では、8の字を横に描きます。∞を立てて描く。とお考え下さい。

24.スター・クロス



1〜4、6番機の5機が、会場中央付近を上昇した後、昔でいう「上向き空中開花」を行い、そのまま5方向に散開。
十分距離を取りながら下降して、再び、会場中央付近に角度をつけながら接近。
スモークオンで、5機がそれぞれ直線を引いて、空に☆のマークを描きます。
T−4ブルーインパルスのオリジナルの課目で、アメリカ遠征の時、星好きな(笑)アメリカ人にも好評を博したそうです。


25.タック・クロスI



この説明が一番骨が折れる(というか諦めかけてる)。
会場正面から、並んで進入した、5,6番機が、滑走路上空で交差して左右に分かれ(写真参照)滑走路上空を直進。
そのあと、それぞれが滑走路端付近で、ロールをしながら上昇し、ループをしてから、再び滑走路中央へ。
背面飛行で互いにすれ違った後、2回ロールをしてから、会場後方へ抜ける・・・。
のですが、これで説明になったかどうか・・・(笑)。


23.ローリング・コンバット・ピッチ

     ▲
    ▲
   ▲
  ▲



エシュロンで左手から進入した4機が、上昇しながらゆったりとしたロールの途中、1番機から1機ずつ速いロールをしてそのまま旋回。
写真のようにブレイク(散開)して、縦に並んで着陸体勢へ移行。
ブルーインパルス初代からの、伝統の課目。
(これも説明はあきらめました)


24.コーク・スクリュー



5,6番機最後の課目。

会場正面から、5番機が背面飛行になり、その後ろのスモークを回り込むように、6番機がぐるぐる回る。
最後に左へ旋回して、着陸態勢へ。
これも、T−4ブルーインパルスの独自課目です。


以上で、すべての課目を紹介しましたが、気象条件などで演目は変わります。
この通りにプログラムが進むとは限りませんので、ご了承ください。


目次のページへ